cado × CLITIA WTATER SERVER 開発ストーリー

  • 株式会社ウォーターダイレクト オペレーション本部 開発・品質保証部部長 開発 横松 久仁明
  • 株式会社ウォーターダイレクト 事業戦略室 室長 商品企画 首藤 まゆみ
  • 株式会社カドー 代表取締役 クリエイティブディレクター 鈴木 健

プロローグ

お水を蓄え、冷やし、温め、注ぐ。これらが、いままでのウォーターサーバーに求められた役割でした。天然水の宅配サービスが世の中に浸透していく中、「無料で提供する製品」として位置付けられてきたウォーターサーバー。この「お水を契約し、そのお水を通常の生活で、より使いやすくするための製品が無料で付いてくる」という現実を改めて見直したとき、ひとつの疑問が生まれます。機能を限定せず、もっと使いやすく、モノ(製品)として価値のあるウォーターサーバーがあってもいいのではないか。『cado×CLYTIAウォーターサーバー』は、そんな思いから生まれた製品です。
人々の暮らしにきちんと応え、つかう人の気持ちにとことん寄り添い、家電として長く大事にしてもらえるもの。その命題をカタチにするまでの過程から、製品に秘められた開発意図を探ります。

01 先を越されたスタートライン。

「下置きモデルを作ろう」。ウォーターダイレクトの社内に新規ウォーターサーバー開発の機運が高まったのは2012年。「下置きモデル」とは、主流の「上置きモデル」と違い、お水のボトルを本体下部に設置できる機種のこと。約12kgもの重たいボトルを担ぎ上げて取り替える必要がないことからユーザーからの要望も強く、開発が急がれていた。

そんな矢先、自分たちが作ろうとしていた「下置きモデル」が、ライバル企業から発表される。「あの時は、いよいよ私達も下置き型を作らなければ遅れを取る、という思いでいっぱいでした」と振り返るのは、開発リーダーの横松。出鼻をくじかれるかのようなスタートラインだったが、このできごとは開発陣の職人魂に火を付ける形となった。

これからのウォーターサーバーは、どうあるべきか。競合他社が市場に投入したのは、下置き型ではあるが機能的には従来と同じ。ボトルの置き方以外に目立った変化はなかった。それと同様の製品を作り、競合を追うか、あるいは別の可能性を模索するか。連日、議論は続いた。

「宅配水ビジネスの主役はお水。でもウォーターサーバーが多機能になって際立てば、ウォーターサーバーで選ぶ、という流れを作れるかもしれない」(開発 横松)。デザイン性の高さにおいて先行していたamadanaモデルが好評を得ていたこともあり、方向性は次第に「ボトル下置き+多機能のフラグシップモデル」へとシフトしていった。

これからのウォーターサーバーは、どうあるべきか。競合他社が市場に投入したのは、下置き型ではあるが機能的には従来と同じ。ボトルの置き方以外に目立った変化はなかった。それと同様の製品を作り、競合を追うか、あるいは別の可能性を模索するか。連日、議論は続いた。

「宅配水ビジネスの主役はお水。でもウォーターサーバーが多機能になって際立てば、ウォーターサーバーで選ぶ、という流れを作れるかもしれない」(開発 横松)。デザイン性の高さにおいて先行していたamadanaモデルが好評を得ていたこともあり、方向性は次第に「ボトル下置き+多機能のフラグシップモデル」へとシフトしていった。

02 敢えてハイスペックにしない。その理由。

開発会議で繰り返し議論されたのは「どのような機能を搭載するか」だった。テーブルの上にはユーザーからの要望を中心に、あれば便利なアイデアが次々と並んだ。「無段階温度調節機能」「コードレス電源」「無線機能」…。そこには、人とお水との生活変化を予感させる、新しいウォーターサーバーの未来があった。しかし、ここで一度、スタッフは立ち止まる。これだけの機能をユーザーは受け入れられるのか。

あらゆるユーザーのニーズを満たせるように、ハイエンドモデルであればあるほど、ハイスペックにする家電メーカーは多い。テレビなどがその代表格だ。しかし機能の数に比例して、使い切れず持て余すユーザーもまた増えていく。「機能の数は、操作の難易度に影響するだけでなく価格にも跳ね返る」(商品企画 首藤)。検討の結果、機能はユーザーが求めている最良のバランスに調整され、仕様書に落とし込まれることになった。

03 家電を、目指せ。

ここでプロダクトデザイナーとしてcadoの鈴木がチームに加わる。鈴木の仕事は「水を出す」という性能において差が付きにくいウォーターサーバーを、いかに差別化するか。鈴木が議論の末に出した答えは「ウォーターサーバーを家電にする」というものだった。

宅配天然水は「お水自体に料金を支払い、ウォーターサーバーは無料」というビジネスモデルが多い。そのため材質も仕組みも簡素になりがちで、購入して自分の物にしたいと思う家電のイメージからはかけ離れていた。「必要だったのは、ずっと大事にしてもらえるような品質と品格と使い心地。」(cado鈴木)。それは、長年、大手メーカーで家電のデザインを担当してきたからこその視点だった。

この挑戦は、新たな課題を生んだ。機能のインターフェース化である。絞り込まれたとは言え、そこは多機能モデル。ボタンがたくさん並んではユーザーが使いこなせない。苦心の末、ボタンとLEDランプを最小限に、一列に並べる直感的な操作パネルが生まれた。さらに、ユーザーがとことん心地よく使えるように、ボタンの位置や質感、コックの高さにもこだわって、設計は進んでいった。

04 安全でないものは、世の中に出してはいけない。

ウォーターサーバーはお湯が出る。それは、子どもによる事故の危険が伴うということを、全ての開発者は知っている。しかし「それでも事故は起こる」。そう考えることは、家庭用電化製品を設計する上で大切な観点だ。だからこそ、安全性の確保には時間を使った。特に、押すと水が出るボタンの、最も安全な位置はどこか。

通常モデルであれば、水を出す構造はシンプルだ。機種によって多少異なるが、レバーを押せば水が出る。コックをロックするボタンを付けたとしても、その外し方を一度見られてしまえば、子どもでも水が出せてしまう。無料モデルであれば、許容範囲かも知れない。しかし、今回は違う。試行錯誤の末、ひとつのアイデアが残った。「大人から使いやすくて、子どもから見えない位置」。開発チームは、ボタンを張り出させ、子どもが見上げてもその視線に入らない位置に置くことでこの課題を解決した。「見えないボタンは、押せない」(cado鈴木)。それはデザインが機能美を発揮した瞬間だった。

それだけではない。安全性の確認は部品ひとつひとつに及んだ。ボトルのお水はウォーターサーバー内部のタンクや樹脂ホースを通って口に入る。それらのパーツも、安全性に大きな影響を与えるからだ。長く使っても衛生的かどうか、安全性を保てるか。「特に通水経路のパーツにおいては、臭気や耐久性を重要視した」(開発 横松)。そんな小さな工夫の積み上げが、品質を高めていく。試作や部品のチェックを繰り返し「完成」と言えるものができあがったのは、2015年に入ってからのことだった。

製品(左)と試作品(右)の違いを説明する開発マネージャーの内藤。ユーザーテストを何度も繰り返し、高さなどのサイズ調整には最後まで時間をかけた。スマートにお水を注ぐ姿勢にこだわり多くの人に使いやすいサイズを実現。

04 安全でないものは、世の中に出してはいけない。

ウォーターサーバーはお湯が出る。それは、子どもによる事故の危険が伴うということを、全ての開発者は知っている。しかし「それでも事故は起こる」。そう考えることは、家庭用電化製品を設計する上で大切な観点だ。だからこそ、安全性の確保には時間を使った。特に、押すと水が出るボタンの、最も安全な位置はどこか。

通常モデルであれば、水を出す構造はシンプルだ。機種によって多少異なるが、レバーを押せば水が出る。コックをロックするボタンを付けたとしても、その外し方を一度見られてしまえば、子どもでも水が出せてしまう。無料モデルであれば、許容範囲かも知れない。しかし、今回は違う。試行錯誤の末、ひとつのアイデアが残った。「大人から使いやすくて、子どもから見えない位置」。開発チームは、ボタンを張り出させ、子どもが見上げてもその視線に入らない位置に置くことでこの課題を解決した。「見えないボタンは、押せない」(cado鈴木)。それはデザインが機能美を発揮した瞬間だった。

それだけではない。安全性の確認は部品ひとつひとつに及んだ。ボトルのお水はウォーターサーバー内部のタンクや樹脂ホースを通って口に入る。それらのパーツも、安全性に大きな影響を与えるからだ。長く使っても衛生的かどうか、安全性を保てるか。「特に通水経路のパーツにおいては、臭気や耐久性を重要視した」(開発 横松)。そんな小さな工夫の積み上げが、品質を高めていく。試作や部品のチェックを繰り返し「完成」と言えるものができあがったのは、2015年に入ってからのことだった。

製品(左)と試作品(右)の違いを説明する開発マネージャーの内藤。ユーザーテストを何度も繰り返し、高さなどのサイズ調整には最後まで時間をかけた。スマートにお水を注ぐ姿勢にこだわり多くの人に使いやすいサイズを実現。

05 有料だからこそ、無料にするという選択。

製品が完成に近づくにつれ、商品企画の首藤はひとつの課題に直面していた。「どのように販売するか」。今回の製品は、無料レンタルではない販売タイプのモデル。価格は約4万円。「お水は有料、ウォーターサーバーは無料」というプランが浸透している市場の中で、購入のハードルは決して低いと言えるものではなかった。しかし、いくら良い製品であっても、人の手に届かなければ意味がない。そこで首藤は「業界としても異例の挑戦」と言い切る大きな決断をする。

それは、携帯をはじめ通信業界の世界では常識となっている本体が実質無料となる「ずっとクリティアプラン」の導入。3年契約で水を毎月4本購入すれば、本体は実質無料となる。さらに、毎月2本の購入であっても本体は半額となる仕組みだ。「たくさんお水を飲むご家庭には、特にお得な料金設定」と首藤は胸を張る。この戦略が功を奏したのか、ほとんどの購入者が「ずっとクリティアプラン」を利用している。

06 “ウォーターサーバーの、新しい基準。”を、もっと世の中に。

従来品と異なり、機能もカタチも料金プランも、その全てが「使う人のこと」を徹底的に意識して作り上げられた「cado×CLYTIAウォーターサーバー」。製品は完成し“ウォーターサーバーの、新しい基準。”を示した。だが課題は残されている。このモデルで業界の常識をいかに覆していくか。天然水の宅配サービスを知っていても、未だ利用していない人々に、いかに届けていくか。開発の横松は言う。「機能や安全性や品質の面で、ニーズを満たせるものができた。今までのウォーターサーバーに満足できなかった人々には、きっと価値を感じてもらえるはず」。

ウォーターダイレクトの挑戦は、まだ始まったばかりだ。